に博雅と都の鬼退治をえ、土埃にれた身体をあみで清め、後の策を酒を交えて博雅としていれば夜もすっかり更けていた。程よくった所で博雅が立ち上がり、明日もまれている鬼退治にえて寝ると言う。最近はヤマタノオロチのせいで幅する鬼のせいで日の疲れが溜まっていた私は引き留める事もなく、酒盛りの片付けは式に任せ、博雅の後にいた。
庭が伺える廊下を音もなくく。
先日までは幽玄を体したかのように事だった庭はヤマタノオロチので所々を残しており、自慢の庭だったが故に残念でならない。だが、都の事や今の状を考えれば庭のなど考えている暇もなく、晴明の真意も探れない今、余所をする余裕すらなかった。かつてはで座っていた彼女の姿も今はない。私の知らない所で世界は少しずつ狂っていく。神と共に犬神にけられた冤罪を解きに行ったことが今ではすっかり思い出の中だ。
(去に耽るのは日の疲れが溜まっているのかもしれないな……)
内心で自嘲しながら廊下をめば、不意に、微かに琴の音が耳に届いた。
を巡らせどいている主の姿はないが、音が出る方は大体分かる。
かにこえてくる端々でも奏者の手腕はえ、嫌がられる事は悟で音がる方へ足を向けた。
「妖琴、か」
かくして、白い着物に身を包んだ彼はいた。皮が所々げてしまったの巨木の根元に座りみ、目をじて琴をいている姿こそ音の正体だろう。姿がえるギリギリの位置で足を止め、なるべく呼吸さえしてその音に耳をける。静寂を好む彼の鬼は少しの邪念もさず、が逸れて失うにはこの音は惜しい。相手は私が来ている事にはづいているだろうが、き手を止めない。まだ、されている距である。
人を狂わせる音の持ち主である妖琴が来たのはついこないだの事だ。
都の探索で鬼退治に勤しんでいれば、突如としてれた荷を背った人形が落としていった符で偶然呼べたのが彼だった。呼んだすぐに「いぞ」と言われ、すもなく「このような喧しい所に呼ぶなど…」と不を言われて去ってしまい、私自身も依でてんてこ舞いになっていたのでこうして姿をるのも久しぶりだった。一度偶然かけたには、近寄った小白と神がに辞を呈していた姿もあったが、わしそうに眉を潜めていた所をるに相当しいのだろう。
余を残して、一曲が去る。
本来ならばすぐに立ち去った方が良いのかもしれないが、この浮世れした想いをすぐに手放すのは惜しい。目をじて、そっと浸っていればいつのにそこにいたのだろうか。目をければ白い着物が目に入り、私はかに目をく。
「いつまでそうしているつもりだ」
低い声音でわれ、くしたのちに口をく。
「なに、あまりに事なものだったのでな」
「ほう。君にあのべが理解出来たとでも?」
挑的な台は地なのか、それともハッタリか。私は目をめ、持っていた扇子で手を叩いた。